2021年01月23日
初稽古で大福茶
こんばんは。
やっとお正月気分を味わった静岡の畳屋の姉さんです。
畳替えをさせていただいたお客様のご縁で、私は去年から月に一度煎茶道のお稽古に通っています。
大体いつも先生一人と生徒二人(私と、煎茶道の先輩生徒Mさん)の少人数でお稽古しています。場所は先生のお宅の普通の和室(茶室ではありません。床の間はありませんが床の間に見立ててミニ畳にお花と掛け軸が飾ってある所はあります。)です。
毎回お稽古の度に掛け軸とお花が変わっていて、お部屋に入った瞬間にいつもそれに見とれてしまいます。
今日の御軸には、初日の出と鶴のつがいと亀と松竹梅が描かれていました。そしてその斜め前には青磁の花瓶に長くすっと伸びた黄梅と松と水仙と千両が生けられていて、水仙の香りが部屋中に漂っていました。
先生が
「四種類になっちゃったけれど・・・」
とおっしゃっていましたが、掛け軸とのバランスや季節感溢れる演出に、どの花も枝も外すことは難しいと思いました。
お茶そのものも毎月違います。夏は2回冷茶のお稽古をしました。その時の茶器はガラスの器でした。
今日は今年最初のお稽古日なので「大福茶」を習いました。
「大福茶」とは新年の喜びとその年の無病息災を願って飲むお祝い茶で、縁起のいいお茶です。
起源は平安時代で、空也上人が疫病が流行していた京の都で病人にお茶を振舞い、それによって多くの病人が回復したとか。これにあやかり元日にお茶を飲む習慣が広まったそうです。
梅干しと結び昆布に煎茶を注いで飲むのですが、地方によっては山椒や黒豆が入っていたり、煎茶ではなく玄米茶やほうじ茶でもいいそうです。
今日のお稽古では、煎茶の葉をほうじ器でほうじ、梅干しと結び昆布と塩を茶碗に入れて、そこにほうじ茶を注ぎました。
梅干しは太陽を、結び昆布は地平線を、塩は海を表すそうです。
お茶菓子は「初みそら」という名前の羊羹のようなお菓子でした。上の方がうっすらとピンク色で、これは初日の出の前の空が明るくなってきた様子を表現しているそうです。下の方は茶色っぽくて甘くて柔らかい黒豆が入っていました。大地や実りを表していると感じました。
お茶碗は富士山の柄のものと、日の出を表した柄のものと、椿が描かれたものがありました。どれも大振りでお正月らしい茶碗でした。
掛け軸、お花、お茶、お菓子、茶碗、全てのものから季節と自然とそれを慈しみ感謝する日本人の感性が感じられます。
作法はなかなか覚えられませんが、適度な緊張感と、心静かにお茶と御菓子と季節を味わうこの時間が私は大好きです。
大晦日も元旦もなんだかバタバタしていて、忙しいまま流されて今日まで過ぎてしまいましたが、煎茶のお稽古でやっと心底お正月を祝う気持ちになれた気がしました。
先生のおっしゃった「生活に句読点は大切。」という言葉が心に響きました。お茶のお稽古の時間はまさに「生活の句読点」ですね。
畳を通してお客様に感動とやすらぎをお届けします。
障子、襖、網戸の張替えも始めました。
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