2020年06月03日
濃い一日前半「バウハウス展」
こんにちは。
久々に濃い一日を過ごした静岡の畳屋の姉さんです。
5/31(日)、静岡県立美術館に「バウハウス展」を観に行きました。
「バウハウス」とは100年前のドイツの美術学校のことです。近代美術を勉強する時に避けては通れない「バウハウス」。しかし私はよく理解していないという自覚があったので、この展覧会は絶対に観に行きたいと思っていました。
展示内容は、「バウハウスの教育」として7人の芸術家の授業内容や作品、「工房教育と成果」として家具、金属、陶器、織物、壁画、彫刻、印刷・広告、版画、舞台、建築の工房と作品、「バウハウスの日本人学生」として4人の日本人芸術家の作品等、盛り沢山な内容でした。
私が一番強く印象に残ったのは「アルバースの授業」のコーナーです。
彼は特に材料研究に力を入れました。これは、次の段階である工房教育の土台となります。材料そのものを精密にデッサンさせる時には、先ず材料を触らせてからデッサンさせたそうです。
(なるほど! 畳を作る前にまずはその材料を徹底的に理解するということですね。)
展示されていた「触覚板」には、目積表の畳や洗濯板もありました!(日本で再現されたものです。)残念ながらコロナウイルス感染防止の為、「触覚板」に触れることはできませんでしたが。
そして彼の授業のキーワードは「経済性」です。
素材の特性を活かし、材料を無駄なく使い切ること、最小の工程で最大の効果を得ることが求められました。(なるほどなるほど。これは全ての製造業に言えることですね。)
よく知られる課題に、紙を扱う演習があります。ここでは加工法を「切る、折る、曲げる」に限定しており、材料(紙)を残したり、後から付け加える(糊などで貼り付ける)ことは禁じられました。こうして紙という材料の新たな可能性を試行錯誤させます。この授業で学生たちは、生涯にわたって影響を及ぼすような創造力を引き出されます。
確かに、ほんの少し条件や制限が与えられると、人はそれでもなんとかしようと創造力を働かせて工夫しますね。
長い試行錯誤の末に世紀の大発見だと思ったものが、実はすでに知られていたと学生が気付いたとしても、それは失敗ではない。アルバースは述べている。「究極的な成果は、学生がみずから獲得し、それゆえに彼のものになった経験自体なのだから。(以下、略)」
大変学ぶ所が多い「バウハウス展」でした。
「バウハウス展」のエリアを出ると常設展があります。静岡県立美術館が所蔵している作品が定期的に交換されて展示されているのですが、そこになんと、大学の時の恩師で今でも「めぐるりアート」や懇親会でしばしばお会いしている白井先生の作品がズラリと展示されているではありませんか!
「せんせ~!」
と思わず駆け寄ってしまいました。
(続く)