2021年06月21日
床の間は日本人の心
こんにちは。
床の間文化を大切にしたい静岡の畳屋の姉さんです。
今月9日と21日、床の間の張り替えのお仕事がありました。
9日に張り替えた床の間は、天然イ草の引目表(一般的な縁付き畳の畳表)に無地の黒い縁でした。
21日に張り替えた床の間は、天然イ草の龍鬢表(天日干しして黄色く日焼けさせたイ草で織られた目の大きい畳表)に紋縁でした。稀少価値のある本格的な床の間です。
どちらの床の間も長さは1.5畳分ありました。
今時このように大きな床の間を目にするのは神社かお寺かお城か・・・。一般住宅では床の間自体あまり見かけなくなりました。これはとても残念なことだと思います。
私は昨年から月1回、煎茶のお稽古に通っています。
お稽古をするお部屋(和室)には、床の間がありません。しかし、和室の入口から一番遠い所にレトロで和風な引き出しが置いてあり、いつもその上にお花が飾られていて、壁には掛け軸がかけられています。
そこで私は、引き出しの上に、龍鬢表に紋縁を付けた床の間風の畳を置くことを提案しました。先生は提案を受け入れてくださったので、和室に小さい床の間風の空間ができました。
そこにどのような掛け軸とお花が飾られているのか、どんなお茶とお茶菓子が用意されているのかが毎月のお稽古の楽しみになりました。これぞおもてなしの心ですね。季節を敏感に感じ、それを楽しむ日本人の美意識にも毎回感心しています。
そして、床の間の方は上座、入口の方は下座という礼儀作法、距離感、所作・・・。
慎ましくも美しい日本人の心は、床の間のある和室で育まれると思います。
床の間に(無い方は床の間風置き畳を置いて)、お花や掛け軸などを飾って季節を演出して楽しんでみてはいかがでしょう。心が静かに豊かになります。